球根の植え方 ~植え付けから開花まで~

チューリップの1年

チューリップの1年間

チューリップは球根から育つ「球根植物」です。秋に植えて・春に花が咲く、を球根をベースに繰り返します。ここでは「球根を植え方と「チューリップの開花まで」を順を追って説明していきます。

チューリップ「アルビレックス」に限らず、チューリップの他品種も同じように植えて・掘り上げることができます。ご参考までにどうぞ!

球根の植え方

いつ植えるの?

チューリップは10月から出荷・販売が始まりますが、植え付けにはまだ気温が高すぎます。最高気温が20℃を切り、最低気温が10℃くらいに下がってくる10月末~11月がベストです。

新潟以南では暦よりも、気温と球根の状態を見て判断してください。球根の根底が出てきている・最低気温が10℃を切ってきた等のタイミングです。

どこに植えるの?

チューリップは地上に芽が出るまで日光量が少なくても問題ないですが、葉が伸びてくる段階からはある程度の日光量が必要です。木の下などの半日陰(日中のうち数時間日が当たる場所)では丈が伸びてややヒョロっとしたチューリップに、逆に日向では丈はさほど伸びませんが、ガッチリとしたチューリップになる傾向があります。

同様に、水分となる雨・雪も同じです。日向などさえぎる物のない場所であれば雨が水やりしてくれますし、雪が積もれば雪が水分を補いつつ、寒さからも球根を守ってくれます。木や軒下などだと冬でも水分が不足することがありますし、霜が当たることもあります。

ただし、降雪地では激しい落雪のない場所雪かきしない場所にしましょう! 雪は寒さや乾燥からチューリップを守ってくれますが、直接落雪が当たれば傷むことも。また、雪かきゾーンにあると、知らずに踏んだりすることも。

花が終わった後に球根をしっかり育てたい場合は日向、それ以外は半日陰でも大丈夫です。

何に植えるの?

植える場所を決めるのと同時に、球根を何に植えるかも決めなければなりません。大まかに2つのパターンに分かれます。

花壇など地面に植える場合」は、球根の根張りがいいので失敗が少なく、雨が降れば水やりも最小限で済みます 。地面に土があるわけですから、土の準備ができてしまえばすぐに植えられる等のメリットがあります。

プランターや植木鉢に植える場合」は、お庭がなくても大丈夫! ただ、地面に植えるよりも土の中の温度が高くなるため、水やりは地面より回数が多くなりますし、プランターや植木鉢や・培養土・鉢底石などの用意が必要になります。

花壇など地面に植える場合の準備

用意するもの……球根・腐葉土や化学肥料など

まずは植える範囲の雑草・小石など不要なものを取り除き、地上から30cmくらいを耕しておきます。

この時に化学肥料を少し入れてあげてください。最近は「球根の肥料」という便利なものもホームセンターで売っています。球根専用でなくても、花用の化学肥料であれば大丈夫。容量は化学肥料のパッケージを参考にして土によく混ぜてください

普段何も植えていない場所に球根を植える場合、元肥となるものがあるといいですね。腐葉土と土が4:6くらいの割合で足すか、土が少ない場合は市販の培養土(もみ殻が入っていないものお使いください)を入れても構いません。化学肥料が培養土に含まれている場合(培養土の袋に記載してあります)は、化学肥料は不要です。いずれの場合もしっかり土とよく混ぜておいてください。お庭の土が砂地の場合も同様です。

地面に植える場合、土の準備は植え付けの1週間前から始めてもOK! 特に腐葉土を足す場合は、土と腐葉土をなじませる時間があるとバッチリです。

植え付けの直前に、球根の植えに被せる分の土をよけておきます。球根2個分の深さの穴を掘り、球根を植えたらよけておいた土を被せて、表面を軽く平らに均します。

プランターや植木鉢に植える場合の準備

 用意するもの……球根・培養土・プランター(もしくは鉢)・化学肥料・鉢底石

プランターや植木鉢ですが、どれくらいのサイズがいいのか悩むことがありますよね。アルビレックスの球根は5球1セットで販売していますので、これを基準とするとプランターなら四角い450~650型丸い植木鉢なら8号以上を目安としてみてください。それぞれ深さは20cm以上あればOKです。

当プロジェクトでは、450型プランター(45×17×20cm)に5~7球を植えていますが、この場合鉢底石は約1リットル培養土は7リットルほど使用しています。一般的にプランターというと650型プランター(65×18×22cm)になりますが、この場合は 鉢底石は約1リットル培養土は13リットルほどです。 8号サイズの植木鉢(直径約24cm)の場合、鉢底石はひとつかみ、培養土は約6リットルほど。培養土は少し多めに用意しておくといいですよ!

プランターや植木鉢には、水はけを良くするための鉢底石を入れます。空の鉢底に鉢の底が隠れる程度に敷きます。鉢底石がない場合、鉢底から土が漏れないように鉢底ネットを敷いておいてください。

土は市販の培養土でOKです(もみ殻が入っていないものをお使いください)。

培養土に化学肥料が元肥として入っていれば、化学肥料は不要です。花壇に植える場合にも書きましたが、最近は「球根の肥料」という便利なものが売ってます。無ければ花用でOK! 培養土と化学肥料を混ぜたら鉢やプランターの半分より少し上まで土を入れ、球根を植えてから残りの土を入れます。水やりをするスペースが必要なので、球根を植えてから、縁より1~2cmくらいのところまで土を入れてください。

植え付け後に水やりをすると土が目減りすることがあります。球根が見えてしまうようなら土を足して、土が落ち着くように再度水をあげてください。

注:ベランダ等で育てる場合など、鉢皿は出来るだけ使わないでください。過湿になりやすくかび病にかかることがあります。

球根を植えよう!

チューリップの球根は上下がキチンと決まっています。芽が出る方が上に向いていないと土の中でロスが生じて球根の育成に影響が出てきます。

そして芽以上に大事なのが根。チューリップの吸水口に当たり、球根の下にしっかりと張ることで倒れにくく、丈夫な葉や茎を伸ばします。植えた直後から発根し、約1週間ほどで100本もの根が土の中を巡っていきます。いかに根を張れるかが勝負です。いわば開幕前のキャンプ時期みたいなものです。なので、上下だけは間違えないように植えてください。

上の画像では、根がでる部分(根底といいます)が盛り上がってきて、自ら皮を破っています。これは植える準備ができている証拠。アルビレックスはこの皮が他に比べて固い品種です。11月の後半になっても根底が見えない場合、爪や爪楊枝などで球根を傷つけないように、そっと皮を破ってあげると根が出やすくなります。皮は全て剥く必要はありませんので、根が出るスペースだけで大丈夫です。

球根の上下を確認したら、土に植えていきます。このとき、前後も揃えて植えると、春に葉の向きもある程度揃えることができます。球根は夏の間に次の花芽や葉のパーツを球根内で既に作り終えているからです。

下の画像にあるように、花が終わった後にも球根を育てる場合、球根同士がくっつかないよう1個分くらい離して植えます。こうすることで球根1個あたりの根張りスペースを確保するのですが、開花時の見た目はちょっと寂しいです…ご了承ください…。球根同士をくっつけて植えるとボリューム感があり見ごたえも十分ですが、次の球根が太りにくいようです

球根を並べて植えたら、土を被せて、表面を軽く平らに均しておきます。

もし、植える前に球根の芽が出てきたら…?
 大丈夫です! この芽の部分は1枚目の葉に当たります。折らないようにそっと植えれば大丈夫! ただし、霜で焼ける恐れがありますので、芽まで土の中に入るようにしてあげてください。

最後は水やり

球根を植えて、土も全てかぶせたら、最後の仕上げは水やりです。

プランターや鉢植えの場合は、底から水がたっぷり出るまで花壇や地面に植えた場合は(分かりにくいですけど)自分が耕した部分まで水が回るくらい、どちらの場合も最初の1回はたっぷりあげてください。

水やりをして球根が土の上に出てしまう場合は、土を足して球根が外に出ないようにしてください。冬を外で過ごすので霜や寒さで傷んでしまいます。

この水やりで球根のスイッチが入り、発根が始まります。根を伸ばす先の土にも水があるとスムーズに伸びます。新潟では11月下旬頃から気温が下がってきます。雪が降るまでに根を張り終えれば第一段階はクリアです。

チューリップの開花まで

冬はどうするの?

冬の間は、新潟の場合は雨や雪があるので基本ほったらかしです。水やりは天気にお任せできますが、落雪や雪かきでプランターが割れたりすることがありますから、雪の降る前に日常動線の外に置いておくことをお勧めします。

雪の降らない地域で育てる場合、冬の乾燥期にも水やりをお忘れなく! 週に1度以上は土に触れて「あ、乾いてるかも」と思ったら水やりを。冬の間は日光量が少なくても大丈夫なので(冬の新潟をイメージしてください)日陰~半日陰にて冷気に当ててください。もし、霜が土の中の球根を押し上げることがある場合は球根の周囲に土を寄せてみてください。

春から開花まで

3月以降、雪が溶けるといつの間にかチューリップの芽が出ています。

▲ 2021年3月7日の聖籠花壇のプランター

ここからは太陽の力でぐんぐん育って行きますので、プランターや鉢植えの場合は日向へ移動しましょう。土が乾いて来たら水やりを!

花壇や地面に植えた場合はプランターより乾燥度合いが少ないので、新潟だと4月まで水をあげなくても大丈夫な年もありました。土の状態や、成長具合をマメにみて、たまに声なんかかけてあげると愛着わきますよ~! チューリップは特に追肥をしなくても開花まで成長します。ただ水がないと生育も止まりますので、マメに見て・触って(葉に水が無いとすぐ分かりますよ)あげてくださいね!

▲ 2021年4月11日の聖籠花壇。蕾もちらほら。

4月に入ると更に成長が加速! 気づくと蕾が上がってたりして!

チューリップは気温を敏感に感じる植物です。桜のような積算ではなく、その日・その時の温度で状態をみていますので、ちょっと気温が上がらない日が続くと「咲くのヤメタ」状態になります。

▲ 2021年4月17日の聖籠花壇。ちらほら咲きはじめ!

それでも4月の半ばにほぼ開花を迎えます(降雪地の場合は月末~5月というところも!)。咲いたらチューリップを褒めて・愛でてあげてくださいね!

最後に注意をひとつ。4月から気温が20℃を越える日が出てきます。気温が高いときは日中に水やりをせず朝晩の気温が上がる前に水やりを! 根が傷むのを防ぐことができます。

ここまで細かに説明して参りましたが、あまり神経質にならずチューリップに寄り添うように楽しんでいただければと思います。アルビレックスが皆さんの日常を鮮やかに彩りますように!

開花後~球根の掘り上げ・保存については「球根の掘り上げ方 ~開花後から球根の保存まで~」をご参照くださいね!

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